◆「ジキルとハイドと裁判員」 のあらすじ
霞ヶ関・東京地方裁判所には、まるで子供のような童顔の裁判官がいた。
新米裁判官の辺見直留(じきる)。
裁判長の金丸(かなまる)には、裁判官にしてはよく気がきくけれど
案件1つに気持ちを入れすぎるから処理が遅いのが欠点と思われている。
一方、直留の尊敬する憧れの裁判官、薬師寺には、
そこが直留のいいところでもあると期待されている。
人によって、長所・短所のとらえ方が違うから、
自分の長所を引き出してくれる上司の下で働けるといいよね。
直留は裁判員裁判を目の前に緊張していた。
素人が人を裁いてもいいのかと不安がる裁判員に、薬師寺は、
素人だからいい、
裁判は以前から、専門的すぎてわかりにくい、何年も時間がかかりすぎる、
法律の専門家だけで行うと、一般常識とかけ離れてしまう、
などという声があった、
それで導入されたのが裁判員制度だから、法律の知識にとらわれず自由に発言してもらえればよい、
と説明。
その言葉で裁判員達は落ち着きを取り戻す。
直留は、裁判の仕切りもうまく、人を安心させる力のある薬師寺のような裁判官になりたいと思っていた。
・・・だけど、その素直な気持ちが、ある出来事をきっかけに変化していくんだ。
今回の裁判員裁判で扱う事件は、殺人事件。
目撃者も指紋の付いた凶器も見つかっていたから
普通に考えたら被告人が有罪となるはず。
だけど、直留はなぜか違和感を感じていた。
そんな時、どこからか声がした。
「オ前、トントンガ憑イテイナイネ?」
その直後、直留は急激な痛みに襲われてその場に倒れる。
気がづくと、、、
なんと直留の肩に、人の顔のような物体が張り付いていた。
しかもその物体は言葉を話し、自分のことを「ハイド」と名乗る。
直留が引き剥がそうとしても、くっついたまま取れない。
ハイドは、「トントンを見せてあげるヨ」と直留に言う。
翌日の裁判で、ハイドによってトントンが見えた直留。
人間の一生の行動を記録する、化け物のような姿のトントン。
直留は、何かをしゃべりたがっているトントンを見つけた。
それは、被告人に憑いているトントンだった。
「あいつの声、聞きたい?」とハイドから聞かれ、
即座に「うん」と答える直留。
ハイドは、直留の体から『グゥ』と呼ばれる飴玉のようなものを取出し、
トントンに食べさせる。
すると、被告人に憑いていたトントンがしゃべりだした。
「コイツはやってない
現場には行ったが殺しちゃいねぇ」
直留は事件の真相が聞きたくて、さらにトントンから被告人の声を聞き出そうとする。
だけど、トントンに話させるための『グゥ』は、直留の寿命から作られたものだったんだ。
裁判官として、真実に近づこうと自分の寿命を削る直留。
その行動が、今まで理想としていた裁判官とは違う、ゆがんだ方向へ進んでいくことになる・・・。
実際の裁判で、誰もが事件の真相を知りたいと思うもの。
その気持ちが強すぎて、大事なことが見えなくなったり、間違った方法を取ってしまったり、、
どんな仕事でも、成功するためにとっていた行動によって、いつの間にか今までの自分と変わってしまうことがある。
「ジキルとハイドと裁判員」は、初心を貫くことの大切さを教えてくれる職業漫画だよ。
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