医師の漫画:「医龍」 乃木坂太郎/永井明
◆「医龍」 のあらすじ
明真大学付属病院・胸部心臓外科、助教授の加藤晶(あきら)は、
仙台に向かっていた。
海岸の小屋に明かりが見えた。
3年ぶりにやっと会えると晶の胸は期待にふくらんでいた。
数年前、アフリカ某国難民キャンプでNGO医療を行っていた晶は、
日本の治療方法は通用しないことを思い知った。
血圧が低下した患者にボスミンを注入する前、安全かどうかの検査を行い
結果を待っていた晶の前で、早くしないと患者の命が危ない、と看護師が自ら注射をした。
驚いて
「あなたはただの看護婦でしょう!?」
と怒ると、周りからは冷たくあしらわれる。
そして、
「必要ないと思われる検査を行っていたら全ての判断が遅れる、
ここは日本ではない、
機材を動かすにも乏しい電力を消費する、
もっとスタッフを信用しろ、麻酔医や看護婦は奴隷ではない、
個人の技術とチームワークで全てを補うのがここのやり方だ」
と言われる。
晶には、日本の大学病院では教わったことが全てだった。
「ちょうど今このあたりのNGOで最高のチームが来ているから彼らの治療を見てみるといい、
世界レベルの救命医療がわかるはずだ、
彼らは、畏敬の念をこめて『チーム医龍(メディカルドラゴン)』と呼ばれている」
と聞き、目の前で繰り広げられていた医療レベルの高さに圧倒された晶。
指揮をとっていたのは、朝田龍太郎という日本人医師だった。
その龍太郎を晶は探していた。
4年前、北日本大学からNGOに参加した龍太郎は、
半年後、大学がNGOから撤退した後も教授命令に背いて現地にとどまったため
帰国後、大学病院を解雇され、さらに教授の手によって、どの病院へも就職できなくなっていた。
晶は龍太郎を自分の病院にスカウトしに来た。
龍太郎は、
「大学病院は性に合わないから気が乗らない、
教授の思い通りに動かないといけないから窮屈、
気楽に船医でもやろうかな」
とまったくやる気がない。
大学病院は、使う薬から医療方針まで医局の教授が決定、
技量に関係なく、患者より教授に献身的に奉公した者のみ出世する封建社会。
晶はそんな大学病院を変えるために、教授の座に昇りつめようとしていた。
「女のあんたには教授選で票は入らない
威勢がいいな」と龍太郎は笑い飛ばす。
教授の座を手に入れるのが難しいからこそ龍太郎の力がいるのだった。
晶は、
「3年前NGOキャンプで手術を見た、
目にも留まらぬほどの速さで、無駄のないスタッフの動き、
手術スピードが速いのは外科医の大きな武器で、
確実さも伴う手術を驚異的なスピードでやってのけた、
これから大きな論文を控えている、
成功すれば教授選の強力な武器になる、
その成功症例を集めるために天才外科医の力が必要」
と龍太郎に訴えると、
「あのときのチームはもうない、大事な手術なら自分で切れ」
と軽くあしらわれる。
晶は引かず、
「失敗したら教授選の足かせになる、
バチスタ、切ってみたくない?」
と言うと、顔色を変える龍太郎。
バチスタ手術とは、心臓を切り取って心室を収縮させる超難手術の変法。
普通のバチスタでさえ日本の大学で成功させられる医師はいない。
心臓外科医にとって頂点とも言える難度。
興味ないと言う龍太郎に、チームの人選も全部任せると晶は言う。
部屋を出て行こうとした龍太郎が立ち止まる。
一緒に暮らしていたミキが倒れていた。
晶が診ると、心停止はしていないようだけど呼吸が止まっていた。
典型的な反響音があり、両肺、有弁性の突発性肺気胸だった。
胸腔の中にある肺に穴が開いて、しぼむと漏れたた空気で胸腔内圧が高まる。
いくら呼吸しても肺は元の大きさに戻ることはできない。
両肺がその状態になると死に至る。
倒れてから時間がかかりすぎているから救急車を呼んでも間に合わない、
万が一助かっても脳障害が残る。
龍太郎は、一升瓶の清酒を口に含み、近くにあったボールペンの軸を割って、尖った先にふきかける。
そして、そのボールペンをミキの胸の下に突き刺した。
胸壁に穴を開けて、空気圧を逃がして肺を膨らませたんだ。
その後の人工呼吸でミキは息を吹き返した。
どうしても龍太郎に診て欲しいと言って、ずっと病院に行かなかったミキ。
「俺の負けだ
俺はまだ医者だったらしい
体が治ったらお前がチームの一人目だ」
と、チームの人権を任せてもらうのを条件に、晶の話を引き受けることにした・・・。
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